母のお弁当

本社への異動が決まった時のことです。

当時私は実家から少し離れた所で一人暮らしをしていましたが、それでも新宿にある本社は、

通うには少し遠い場所でした。

悩む私の相談に乗ってくれて、行ってみればと背中を押してくれたのは母です。

 

引っ越すまでのしばらくの間、母が早朝のパートに出る前にお弁当を作ってくれるようになりました。
 
勤務先が駅の中なので、作ってきてくれたお弁当を取りに寄り、それから新宿まで毎日通いました。

 

朝早いだけでも大変なのに、食べる量が多い私のために大きなお弁当箱に何種類もおかずを入れてくれる
 
母。毎日お弁当というプレゼントをもらっているような気分で、悪いなと思う反面とてもうれしく、1日の支
 
えになりました。

 

引っ越しが決まったある日「これからはコンビニで買うからお弁当はもういらないよ」と言いましたが

母はとても心配してくれて、どこか寂しそうです。

作るのは大変なはずなのに、作ることを断ると寂しそうなのです。

親切を断ると、寂しいのですね。電車で席を譲って断られると、寂しく思うのと一緒かもしれません。

 

親が子供に優しく親切にしてくれることは、無償の愛であり多くの家庭で見られることだと思いますが、

ずっと続くわけではありません。

親はずっと子供を守ってくれていましたが、年が経つと今度は子供が親を守っていかなければいけません。

 

母には、住む場所が離れても常に感謝の気持ちを持ち、親切心を忘れずに暮らしていきたいです。

家族の間にある親切心は、見返りを求めない、究極の親切心だと思います。