親切心の魔法


連休を利用して家族で出かける予定だったときのことです。

ちょうど息子が大好きな電車のアニメのイベントがあったので、

お台場に行くことに決まりました。


息子は大喜び、毎日毎日その日はまだかとうきうきしています。

妻も久しぶりの家族での外出で嬉しそうです。

そして待ちに待った連休初日!

…だったのですが、休みに入った途端私が風邪をひき、

不運なことに何年振りかの高熱を出してしまいました。

もちろんわざとではないのですが、タイミングの悪い私に妻はご立腹。

「私が一人で連れて行くから!!」

と怒って家を出て行ってしまいました。

 

体もつらいのに心配してもらえず、怒鳴られる始末。

しょんぼりとベッドにもぐりこんでみましたが、

やはり申し訳ないと思い妻の携帯に電話をかけました。

しかし、何度呼び出し音が鳴っても妻がでる気配はありません。



“場所はわかるし、とりあえず行ってみるか…”と、

フラフラしながらも目的地に向かいました。

 

行きの電車で目の前の席が空きました。

体調が悪かったこともありすぐに座ったのですが、

次の駅で乗ってきたお母さんと34歳くらいの女の子と

おばあちゃんの家族連れが私の前に立たれたので、席を譲りました。

 

おばあちゃんが女の子に「○○ちゃん座れてよかったね」

嬉しそうに声をかける姿を見ていると、それまで電話が繋がらない妻に対し

イライラしかけていた気持ちが、不思議と徐々に落ち着いていきました。

 

無事目的地にたどり着き、なんとか妻と子供を見つけました。

妻がニコニコしながら「来てくれたんだね。」と喜んでくれました。

今朝見た鬼のような顔が嘘のように、すっかり一変しています。
 

このあと何か起こるのでは…と逆にひやひやしましたが、

帰り際に話を聞いてみると、

どうやら電車の乗り換えで乳母車を持って階段を上るのに苦戦しているとき、

通りかかったサラリーマンが乳母車を持ち上げて運んでくれたとの事でした。


家族連れに席を譲ったことで少しのイライラが晴れた自分と、

サラリーマンに助けていただいたことで、いつもの笑顔を取り戻した妻。


親切心とは“する側もされた側も”幸せな気分にしてくれる

「特別な魔法」のようなものなんだなと感じました。