【思いやり】

私の働いている介護施設に、90代後半のAさんと、90代前半のBさんがいます。
とても仲の良い2人の共通点は、兄弟を戦争で亡くされていることです。
Aさんは弟さんを、Bさんはお兄さんの命を奪われました。
2人が仲良しになったきっかけ、それは認知症を患っているAさんが、Bさんを戦争で亡くなった弟さんだと思い込み、日々、Bさんに話しかけることから始まりました。
「ご飯は、残さず食べなさい。母さんを心配させるんじゃないよ」
と。
そして、それを否定することなく受け入れるBさん。
Bさんは、Aさんが認知症であるとわかった上で、Aさんの声かけに、弟になりきって返事をしてくれていました。
それは、戦争でお兄さんを亡くされたBさんだからできること。
時には手をさすりながら、時には背中をさすりながらの2人のやりとりに、目頭が熱くなることがあります。
ともに、戦争で兄弟を奪われた時に負った心の傷を、懸命に癒し合う2人。
心寄り添って生きる2人を、天国の本当のご兄弟も、安心している事と思います。